【第1回写真出版賞 総評】審査員&写真家・青山裕企氏コメント

写真出版.com

2019/05/20

3月末に第1回写真出版賞の最終審査会が行われました!

各受賞作の審査員コメントは、

【第1回写真出版賞 ドキュメンタリー部門】審査員コメント

【第1回写真出版賞 アート部門】審査員コメント

【第1回写真出版賞 エンターテインメント部門】審査員コメント

【第1回写真出版賞 審査員特別賞】写真家・青山裕企氏コメント

に掲載しています。受賞した方のみならず、第2回以降、応募を検討している方も、ぜひ入賞の参考にご覧ください!

ここでは、第1回写真出版賞の総評を掲載します。

〇写真出版賞審査員〇 

・応募数は思ったより少なかったものの、たくさんのいい作品に出会うことができました。

過去に見たことのないような、今まで遭遇したことのない世界や作品に出会えた経験は幸せでした。写真集で勝負しようという写真家は近年、めっきり減っている印象です。その分写真を使って新しい本を作ろうという表現の試みは増えていると思います。写真家がそのことに気付かずに自分の写真をいろいろと展開していく方法を持たない状況があると思いますが、写真出版賞をきっかけに写真表現をいろいろなものに展開していく機会を得て、修練を積んで、世の中に写真家の存在感がより広まっていくといいなと感じています。

・これだけ迫力のある作品が集まるとは思ってもいませんでした。可能性を感じさせる作品ばかりで、写真出版賞の発信力をもっと高めて、写真家の皆様にもっと勇気を与えられる賞になりたいと思いました。本賞は“写真集賞”ではなく“写真出版賞”であるため、もっと写真集というカタチにこだわらず、写真という素材を提供するぐらいの気持ちで応募していただいて構いません。才能ある写真家たちを企画して、世に広く発信していくのがこの賞の目的です。その目的をより広く達成するためにも、既成概念にとらわれない新たな作品をどんどん応募していただきたいです。

・最終審査を通じて、写真出版賞の目的やほかの写真賞との違いがかなり明確になってきました。カメラは“目”でありますが、我々は“目”を通して、“心”を表現しているともいえます。“目”の良さ自体を追っていくこともあると思いますが、その延長線上に“心”のようなものまでも取り組んでいく。単なる一つのカットとしてでの写真ではなく、“写真出版”であるという明確な差別化が浮かび上がってきたと感じています。

〇特別審査員 写真家・青山裕企氏〇

全体的にとても見ごたえのある作品ばかりでした。

“写真出版賞”ということで、誰が買うのかを意識していたり、写真からこだわりが見えてきたりすると良いと感じました。

【ドキュメンタリー部門】

ドキュメンタリーというのはどうしても主観的になりやすいです。一歩引いた感じで、客観的にどういった人たちがこの本を買ってくれるのだろうといったことも想像して、変化できるところから変えていけるといいと思います。

作品にもよりますが、モノによっては写真だけでなく言葉でデータなどの情報を入れていくことも効果的です。

また写真は同じようなものが続くと単調になってしまいがちなので、角度や構図などいろいろなものを混ぜることをおすすめします。

【アート部門】

既視感のある作品もありましたが、全体的に作りこんでいるイメージ。しかし、もっと執拗に作りこんでもいいとも感じました。

特に「子供」「猫」「花」「女の子」など人気のある被写体は、どのような切り口で撮るべきか通常より頭を悩ませる必要があります。

また良い作品はプリントに限らず興味を惹かれますが、できればプリントにもご自身の工夫やこだわりを見せてくれればもっと面白いとも思いました。

【エンターテインメント部門】

エンターテインメント部門は文章がある作品も多く、写真だけでなく、文章のクオリティーも求められると感じました。決して悪いわけではないのですが、文章ももっと改善できるものが多かったです。

また最低限の写真のクオリティーは担保してほしいですが、面白さやシュールさなどの側面も極めてほしいと思いました。

しかし、皆さんの「本を作りたい!」という意気込みが伝わってきて、この部門が一番今後、“大きく化ける”可能性を感じました。

結論として、全体的にとてもよかったです。自分もこんな作品を撮ってみたい、これは本として出版してみたいと思えるような作品もありました。

第2回写真出版賞にもまた審査員として関わらせていただくことになりましたので、次はどのような力作、自信作に出会えるかとても楽しみにしております。

第2回写真出版賞への応募はこちらから