審査員コメント
2024/03/22
第10回写真出版賞の開催にあたって、第1回から特別審査員を務める写真家の青山裕企さんから届いた応募者へのメッセージを紹介します。
「写真を撮ること」は、あえて黒く重たい物体を持ちシャッターを切る、という身体性を伴う行為です。
今はその場に行かなくてもAIでイメージを生成できる時代ですが、だからこそ、そういった身体性を感じる作品に惹かれています。
撮る人がその場に行かなければ撮れないもの。しかも、そこに長く通わないと撮れないもの。
僕は、「うわー、この人、これを撮るためにすごく粘ったんだろうな」とか、「このために何万歩歩いたのだろう」などと感じられるようなものに、写真らしさを感じます。
“写真してる”なって。人間の泥臭さ。身体性。そういうものが匂ってくる写真が好きです。
「SNSで映えそう」とか、「だれも見たことのない画像をつくろう」などと考える必要はないと思います。
こういう時代だからこそ、自分で動いて目で見て、心動いたものを撮る。そういう写真の基本的なところに立ち返っていくのがいいのではないかと思います。
また、過去に応募してくれた方にも、ぜひまた応募していただきたいです。
応募した後も撮り続けていたのであれば、審査員たちは写真が良くなっていることに必ず気づきます。
沢山のご応募をお待ちしています。
1978年 愛知県名古屋市生まれ。筑波大学人間学類心理学専攻卒業。2007年 キヤノン写真新世紀優秀賞受賞。現在、東京都在住。作品に『ソラリーマン』『スクールガール・コンプレックス』などがあり、吉高由里子・指原莉乃・生駒里奈・オリエンタルラジオなど、時代のアイコンとなる女優・アイドル・タレントの写真集の撮影を担当している。今までに約10年で、70冊以上の書籍を刊行。2016年より、ユカイハンズパブリッシング設立。本賞では第1回から特別審査員を務める。URL:http://yukiao.jp/