過去の受賞者の方々に、これから応募する人へのメッセージをいただきました。

 

北山建穂さん(第3回写真出版賞 大賞)

 

以前から私には、地元の栃木県日光市の四季折々の美しい風景写真をもとに、日本の伝統色を紹介する「色図鑑」を作成してみたいという夢がありました。

しかし、出版への道はとても険しく、非常に狭き門です。原稿持ち込みを断る出版社も多い中、私に残された選択肢は、多額の経費を必要とする自費出版以外にありませんでした。

そんな折、たまたまインターネット上で見かけた広告で『写真出版賞』の存在を知りました。これは自分にとってまたとない僥倖でした。

それから締切までの1ヶ月弱の間、仕事が終わると寝る間も惜しんで写真の選別や伝統色の選定などの作業に追われました。

その努力の甲斐あってか、『四季彩図鑑』は運良く大賞を受賞し、2021年5月に出版の夢が実現したのです。

大賞受賞を契機に、翌年の2022年には続編となる2冊目の『百色図鑑』を、さらに2023年には3冊目の『四季彩図鑑 雨と風と光の名前』を続けて出版することができました。

これは最初のきっかけを掴むのに成功したからに他ならず、とても感慨深いことです。

写真撮影が趣味の人であれば、いつか自分の写真集を出してみたいと思われる方も多いのではないでしょうか。

しかし、思っているだけでは道は開けません。夢はいつまで経っても夢のままです。目的を持って努力を継続することは重要なこととは思いますが、自分の「好き」なことを具現化するためにはチャンスが必要です。

『写真出版賞』は、まさに夢を実現するための大きなチャンスです。この機会に皆さんもぜひチャレンジしてみませんか? 

同じ写真を愛する人間として、心が震えるような素敵な作品に出会えることをとても楽しみにいたしております。

 

〈 写真出版.comからの質問 〉北山さんの肩書きは何ですか?
 
「四季彩写真家」でしょうか。写真を通じて、日本に古くから伝わる伝統色や事象を表す四季折々の「やまとことば」、雅語などを紹介していきたいと考えています。

   

四季彩図鑑 写真でつづる日本の伝統色』より(第3回写真出版賞 大賞 / 2021年刊行)
百色図鑑 四季彩 言の葉』より(2022年刊行)
四季彩図鑑 雨と風と光の名前』より(2023年刊行)

 

 


テツヤハシモトさん(第1回写真出版賞 優秀賞)

 

自分は写真家であると思って活動していますが、常に高い熱量を持って創作意欲をキープするのは難しいことです。

一般社会には写真家であることを保証する資格やライセンスなどはないため、創作活動に行き詰まったときは、自分のアイデンティティーが揺らぐこともあります。

そんな時に心の支えになってくれたのは、「自分の著書がある」という事実でした。スランプに陥ったときでも、この世に自分の名前がついた本が存在していることによって勇気づけられ、写真家であることを再確認させてもらえました。これは、クリエイターとして、とても幸せなことです。

とはいえ、本を出版するという作業は、そう簡単にできることではありません。しかし、そのチャンスを与えてくれるのが、写真出版賞です。自らの作品集・写真集を出版したいと思う写真家に、夢と希望を与えてくれるコンテストだと思います。

自分の本が書店に並んだり、Amazonで買えるなんてワクワクしませんか? 是非皆さんも、そのチャンスを掴んで下さい。

 

〈 写真出版.comからの質問 〉テツヤハシモトさんの肩書きは?
 
SNSや著書の自己紹介などにも書いていますが、私の本業は臨床心理士(公認心理師)です。なので、肩書きとしては、「写真家/臨床心理士(公認心理師)」のテツヤハシモトと名乗っています。 そういう意味では、すでに「好きなことを肩書きに」していると思います。 私の場合、心理士として培ってきた経験を写真に活かし、写真で学んだ感性を心理士の仕事に活かしていると思っています。流行りの言い方ならば二刀流ということになるかもしれませんが、この二刀流のおかげで、どちらの仕事も相互に生きている気がします。

 

Strangers 日常の中にあるアートな風景』より(第1回写真出版賞 優秀賞 / 2019年刊行)

 

 


バオメイさん(第2回写真出版賞 大賞・青山裕企賞)

 

最初に、『have fun』を東京で出版した私の経験をみなさんにシェアできるのが本当にうれしいです。

きっかけは、当時、東京に住んでいる友人の洪十六がこのコンテストの情報を見て、私に応募を勧めてくれたことです。

私は洪にモノクロ写真のシリーズを送り、応募をサポートしてもらいました。

しばらくしてから、大賞と審査員特別賞を受賞したという結果発表を受け取りました!

すごくうれしかったし、びっくりしました。

とくに審査員の方々からもらった言葉は、励みになりました。

あぁ、なんてこった、だれかが私の写真を理解してくれるなんて!

本が出版された後、私は中国の読者たちにシェアするために本を少部数手に入れ、日本の新しい友人たちの注目も集めました。

一連の経験で、自分自身だけじゃなく、このユニークな写真たちにもチャンスを与えられたんじゃないかと思います。

最後になりますが、もう一度東京に戻りたいです。

そして、もっとたくさんの友達と写真を交換したり、一緒に楽しみたい!

 

 

〈 写真出版.comからの質問 〉バオメイさんの肩書きは?
 
「World Wander」世界を歩く人です。

 

have fun』より(第2回写真出版賞 大賞・青山裕企賞 / 2020年刊行)